2015年12月11日金曜日

心の自由は誰も奪えない 小川洋子という作家

図書館や書店をうろうろしながら、背表紙のタイトルで小説を選び読むことがあります。その小説が心にしみて「この作家いいなあ」とファンになることも。

小川洋子の小説を私は一編も読んだことがありませんがファンになってしまいそうです。この作家の名前は知っていました。芥川賞受賞作の『妊娠カレンダー』の前で足を止め、買おうかどうかちょっと考えて、「やっぱりやめよう」となったことが、まだ若いころ、2度か3度ありましたから。

今回(今回といっても11月29日付ですから半時ほど前なのですが)、彼女が「しんぶん赤旗」日曜版の「ひと」欄に登場しました。そこで語っている印象的なことを3か所紹介します。

一行目を書き始めるときは神秘的で、潮が満ちるように、あ、書けるな、という時がくる。先が見通せず不安ですが、書け、と指令がくる感じです。先がわかって書いているわけではなく、一歩間違えば崩壊しそうな危うい感じのなか、頭の中で見えてくる『風景』を描写しています。
作家には、一生かけて取り組むテーマがあると思う。私にとっては『アンネの日記』。私のどんな作品にも、根底にはホロコースト(大虐殺)文学があると自覚しています。 
どんな暴力的な抑圧を受けても、子どもの心の中の自由は誰にも奪えないし、子どもは成長する。アンネ・フランクは、それを実証してみせました。今回の私の小説(『琥珀のまたたき』のこと-高橋)も、そうした抑圧のなかの子どもの『自由』や『成長』と重なる部分があると思う。不自由であっても、それを補う力が人間にはあるのだと。 
プロフィールには、芦屋「9条の会」呼びかけ人であることが書かれていました。

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