2017年6月5日月曜日

アイヌ語地名・・・北海道を旅するもうひとつの楽しみ③

またまた続きです。

アイヌ語地名は地域の特徴をあらわしているということを前回書きましたが、だとすると地域の特徴が似ていると地名が同じになったり、似るということもありえるはずです。

私の住んでいる函館から自動車専用道路である函館新道に乗って少し七飯町方向に行くと「武佐橋(むさばし)」という標識があります。私の伯父の家があるのも釧路市内の「武佐」というところ。調べてみると「モサ」「モセ」「ムセ」というアイヌ語から来ているようです。意味は「いらくさ」という植物だそうです。となると「妹背牛町(もせうしちょう)」の「モセ」も同じ由来かなと思って調べてみるとやはりそのようです。

先日、道南の厚沢部町(あっさぶちょう)を通った時に「目名川(めながわ)」というのがあったのですが、函館の恵山地域にも字は違うのですが「女那川(めながわ)」があります。蘭越にも「目名川(めながわ)」がありました。「目名駅」という駅名にも「目名」が使われていました。「メナ」というのは「細い川」とか「枝川」という意味らしいです。

このように、変わってるなあと思う地名が、北海道の他のところにあるのをみつけたりすると妙にうれしいのです。(おしまい)

アイヌ語地名・・・北海道を旅するもうひとつの楽しみ②

昨日からの続きです。アイヌ語地名の楽しみ方その3は、アイヌ語地名の意味からその地域の特徴を知ることです。私はアイヌ語のことを多く知っているわけではありません。函館市博物館のアイヌ語講座に2回参加しただけです。でもアイヌ語の単語をいくつか知っているだけでけっこういけるんです。

有名な単語をいくつか挙げましょう。一番よく聞くアイヌ語です。「ナイ」「ペツ」は川のこと。漢字では「内」「別」と書くことが多いです。「ナイ」「ペツ」がついていると、その地名は川の名前から来ているとわかります。「トー」は湖とか沼ですね。「苫小牧」の「ト」も沼のことだそうです。

次に「ポロ」と「ポン」。「ポロ」が大きいで「ポン」がちいさいです。私の住んでいる近くの大沼は「ポロト」からきています。翻訳型地名ですね。「小沼」は「ポント」。大沼のゆるキャラの名前が「ポロトくん」と「ポントちゃん」。「ポロ」は「幌」、「ポン」は「本」と書いたりします。北海道を走ると「幌内」という看板をよく見ますが、昔住んでいた人がきっと「大きな川」と考えていたんですね。

「オタ」とか「ウタ」は、砂とか砂浜とかを意味するそうです。寿都町には歌棄(うたすつ)という地域がありますが、この「ウタ」がこれにあたります。歌志内(うたしない)の「ウタ」もそう。「小樽」の「オタ」も、釧路の「大楽毛(おたのしけ)」の「オタ」も、小樽市内の「オタモイ」という地域の「オタ」もそうです。「オタモイ」なんていう地名は小樽しかないだろうなとおもっていたら他にもあるんですね、これが。一昨年、知床に向かっていたら「オタモイ」があるんですよ。びっくりしましたね。

「プト」というのは「川の口」とかいう意味だそうで漢字では「太」と書いたりします。江別市に「江別太」という地域があります。写真はそこにある「江別太簡易郵便局」です。この地域は千歳川が石狩川に合流する地点です。


私が釧路の小学校に通っていた時のこと、隣の釧路村セチリ太から通ってた子がいました。このあたりは地図を見ると釧路川と旧雪裡(せっつり)川が合流する地域になっています。だからセチリ太なんでしょう。おもしろいですね。

今日もこれくらいにしてあとで続きを書きます。

2017年6月4日日曜日

アイヌ語地名・・・北海道を旅するもうひとつの楽しみ①

北海道を旅する楽しみはいろいろあると思いますが、私のお勧めはアイヌ語の地名を楽しむことです。

北海道にはアイヌ語に由来する地名がたくさんあります。道庁所在地の札幌市だってアイヌ語由来の地名ですね。

私の楽しみ方は3つくらいあります。ひとつは言葉の響きです。道外の地名の響きと全然違うものが多いのです。私がいま住んでいる道南では、厚沢部町(あっさぶちょう)とか長万部町(おしゃまんべちょう)とか。昔住んでいた道東では、釧路市内の大楽毛(おたのしけ)とか、合併して釧路市内になった阿寒(あかん)とか屈斜路湖(くっしゃろこ)、あ、それから弟子屈町(てしかがちょう)も。子どもの頃、遠足に行った馬主来(ぱしくる)は、パ行音で始まるアイヌ語らしい響きがあります。


2つめは、アイヌ語地名に漢字の音をあてて現在の地名になっていますが、漢字の当て方が変に凝っていて面白いのです。さきほど紹介した馬主来を「パシクル」と読める人はほとんどいないと思います。こういう難読地名がたくさんあります。

釧路町の昆布森からシレパ岬までの根室浜中釧路線には、地図を見ると海岸に沿って難読地名が並んでいます。難読地名ロードです。地図から地名を拾うと来止臥、十町瀬、浦雲泊、跡永賀、初無敵、入境学、賤夫向、分遣瀬、老者舞、知方学、去来牛などとてもよめません。








行ってみて読めるようになったのは浦雲泊(ぽんとまり)、跡永賀(あとえか)、賤夫向(せきねっぷ)、老者舞(おしゃまっぷ)、知方学(ちほまない)、去来牛(さるきうし)。

「アイヌ語地名で旅する北海道」(北道邦彦 朝日新書)で調べてみると、来止臥(きとうし)、十町瀬(とまちせ)、分遣瀬(わかちゃらせ)が紹介され、アイヌ語の意味も説明されていました。とにかく読めません。

思わず笑ってしまう漢字の当て方もあります。


「可笑内(おかしない)」です。でもアイヌ語の意味が可笑しいわけではありません。「オ カシ ナイ」(川尻に・仮小屋がある・川)がアイヌ語の意味だそうです。

長くなったので今日はこれくらいにします(つづく)