2015年12月20日日曜日

肉の読み「にく」は訓読みか音読みか

孫のひまりが学校の宿題をやっています。漢字の書き取りは「肉」の字。「肉まん」と3度書いて、「おじいちゃん、肉まん食べた~い」と。


さて「肉」と書いて「にく」と読む。これは音読みですが、では訓読みは?もともとは「しし」だったようです。

笹原宏之著「訓読みの話 漢字文化圏の中の日本語」(光文社新書 352)にはこんなことが書いています。
消えた和語
「肉」は、音読みである「ニク」が現在ふつうに使われているが、これは、実はもともとの和語である「しし」を駆逐したものである。「いのしし」も、元は「猪のしし(肉)」という意味であった。今では、「しし」は「宍戸」、「宍道湖」など固有名詞の中で化石のように残るだけである。
「肉」と「宍」とは全く違う漢字のように思えるが、元を辿れば、「肉」を書きやすくするために六朝時代(3~6世紀)の人々が変形させたものが「宍」であった。古代の日本では、当時の中国のそうした風潮に従い、「肉」よりも「宍」を用いたため、古語の「しし」に一時期流行した俗字「宍」が定着を見たのである。
消えた和語について他の例を挙げると、古くは「脳」には「なづき」(なずき)「地震」には「なゐ(ない)」(のちに「なゑ」とも)、「暗礁」には「いくり」という和語があった。しかし、今では東北地方や九州といった日本列島の周辺部などで方言や固有名詞に残る程度となっている。
 以前、訓読みについてこんなことを書いたことがあります。「政治の訓読み」

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