2010年11月28日日曜日

ご飯食べにくるかい

父が亡くなったのが三年前。肺がん発見からわずか二ヶ月のことでした。肺がんと告知され、余命一年以内と知らされたとき父は「オレの望み通りガンになった」と言いました。脳卒中で寝たきりの祖父を十年以上介護していた父は、家族に面倒をかけず一気に逝くことを人生の美学としていたのかもしれません。

母の一人暮らしがはじまったのも三年前。実家にちょっと立ち寄ったときのことです。棚からものをとろうとした母がイスから落下し、足や腰が動かなかくなっていたのです。「何かあったら電話しろといっていたのに」と私。「あんたたち忙しいと思ってさ」と笑いながら母。それでも近所の方々や、サークルの仲間との交流に母が支えられているのが何よりの救いでした。


操作しやすく画面の大きい年寄り用の携帯電話を母の日に贈った私に母から最初に来たメール。
「今晩ご飯食べにくるかい」 (「コーヒータイム」 2003年6月29日号)


追記 この文章を書いたのが7年前なので父が亡くなってからもう10年以上が経ちました。元気だった母も食欲がなくなり体力が衰えてきています。先日、食道裂孔ヘルニアの手術をしたのですが、なかなか食欲が回復しないとのこと。心配です。

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