2010年11月24日水曜日

ビラまき讃歌

秋の陽の傾きと降りだしてきた小雨を気にしながら、小脇に抱えたビラの束が濡れないよう、足早に新興住宅街の一軒一軒に投函していく。ポストに入れたあと、きびすを返し、十歩二十歩と玄関を離れたとき、カタッと音がして、いまとどけたばかりのビラが、家の人の手に渡ったことを耳で確認する。
配布をつづけながら想像する。いまビラを手にしたのは四十代の主婦かな。夕飯の準備をしながら、人影を察知して玄関に出てきたのか、それとも夕刊をとりにきたのか。彼女は手にしたビラの表紙の見出しに一瞥したあと、関心を持ったのか、夕食づくりの手を休めてソファーに座り、中を開いて「ふーん、『消費税に頼らずに安心できる社会保障を実現します』か」。配布者の想像はここで途絶える。たしかにビラ配布の活動は単調で骨が折れる。その単調さが実は世直しの原動力であることを今度の選挙でしめしたい。私のビラまき讃歌。(『コーヒータイム』 2003.11.2号)
追記 この文章は2003年の総選挙で当時の函館地区委員長の伏木田政義さんが北海道8区候補者となり、私が地区委員長代行となったときに、草の根でがんばる党員や後援会員をはげまそうと思って書いたものです。(高橋佳大)

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