2015年11月2日月曜日

マルクスも登場する福岡伸一著『動的平衡』を絶賛します

私が生物学者、福岡伸一氏の著作を最初に読んだのは『生物と無生物のあいだ』でした。『できそこないの男たち』『生命の逆襲』と読み進み、さらに『動的平衡』(木楽舎)を読んで、彼の著作のすばらしさに感服しています。そのすばらしさをうまく表現できない自分がもどかしい。

生命科学の本なのに、わかりやすさ、表現の豊かさ、知識の幅広さ、理系の本なのに小説家の本を読んでいるようです。

『動的平衡』というのは、つまるところ生命現象は「動的平衡だ」ということなのでこの著書のキーワードになっているのですが、私にはうまく説明できません。

彼の知識の幅広さをひとつだけしめすと、何とマルクスまで登場するのです。
ダーウィン進化論は、産業革命が起こり、ヨーロッパ諸国が争って版図を広げ、時代に適したものだけが生存できるというドグマが席巻した、激動の中で必然的に生まれた認識だった。まもなく同じロンドンで、カール・マルクスは『資本論』を書き上げた。彼は自筆でサインを入れ、ダーウィンに献本した。それに対してダーウィンは短い礼状を送っている。1883年3月に執り行われたマルクスの質素な葬儀で、マルクスの盟友エンゲルスはこう弔辞を述べた。
「自然界ではダーウィンが生物進化の法則を発見したように、マルクスは人類史における進化の法則を発見した」ダーウィンはその前年にこの世を去っていた。
二つの思想が世界を席巻する二十世紀が幕を開けようとしていた。
すごいですね。もっと読み込んで、魅力が伝わるようにしたいなと思いました。

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