2016年1月20日水曜日

「命(ぬち)かじり頑張りましょうね」と翁長沖縄知事が応援

米軍普天間基地問題が最大の争点となっている沖縄県宜野湾市長選挙がたたかわれています。「移設条件なしの返還」を掲げるシムラ恵一郎候補を応援して、翁長雄志沖縄県知事が言いました。「命(ぬち)かじり頑張りましょうね」。「命をかけて」との翁長知事の決意にただただ感動しています。

さてここからは言葉の話になります。

「ぬちかじり」は、標準語では「いのちかぎり」ですね。私のつたない知識では(間違いもあるかもしれません)が、沖縄の言葉には、本土の「お」や「え」が狭母音化して「う」や「い」へ変わる音声変化があり、北琉球方言群のなかには、「き」から「ち」、「ぎ」から「ぢ」などへ口蓋化・破擦化する地域があるという音声的特徴があるとのことです。

ですから「ぬちかじり」は、「いのちかぎり」の「い」が脱落し、「の」が「ぬ」に、「ぎ」が「ぢ」へと音声変化したものなのでしょう。標準語では「ぢ」と「じ」を区別しないので、私が読んだ「しんぶん赤旗」でも、「ぢ」ではなく「じ」を使い、「ぬちかじり」と書いたと思われます。

「ぬちかじり」と言ったところに、「中央権力の横暴には負けないぞ」という沖縄の心意気みたいなものを感じるのです。

追記
ここで書いた琉球、沖縄の言葉についての知識は呉人恵編「日本の危機言語 言語・方言の多様性と独自性」(北海道大学出版会)から得たものです。

ユネスコが危機言語と認定した日本の8つの言語のうち6つは沖縄語、国頭語、宮古語、八重山語、与那国語、奄美語で琉球語の方言とみなされることもあるそうです。あとの2言語は、アイヌ語と八丈語です。

琉球祖語と九州方言の祖語が分岐したのは紀元前3世紀から8世紀の間と推定している学者さんがいるそうです。

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