2010年12月3日金曜日

高橋知事のJR北海道への要請 11万署名の重み


いよいよ今日から函館市議会12月定例会が開会となります。函館市議会は初日に発言通告することになっています。私は北海道新幹線が札幌に延伸するときの函館-新函館のJRからの経営分離の問題をとりあげようと思っています。これで3回連続この問題をとりあげることになります。


そもそも西尾市長は並行在来線のJRからの経営分離に反対ではありません。このことでは私と西尾市長は何度かはげしいやりとりもしましたが、それこそ平行線(並行線?)でした。しかし函館-新函館を経営分離する意向をJRが示すと西尾市長は毅然とJRに「函館-新函館は並行在来線ではない。約束が違う。JRがやるべきだ」とものを言ってきました。私は並行在来線と政府与党合意についての基本的な考え方は違うけれど、「函館-新函館はJRが運行すべき」という一点で、市長を後押しすべきだと考え、函館市と商工会議所、町会連合会の署名活動にも出かけて行きました。

マスコミの報道は私には「函館が意固地になって札幌延伸の障害になっている」的なもののように思っていましたし、肝心の北海道は、函館市との約束があるのに、中立的な風を装って何とも冷たいと道政だと感じていました。

ところが北海道新聞の11月の2つの記事と社説を読んで事態が変わってきていると思いました。13日付では、高橋知事が「同区間の分離方針を再考するよう要請した」「中立的立場を転換した」と報じ、29日付社説では「(JRが)歩み寄る姿勢を示してもらいたい」と論じています。私は函館市民11万人の署名の力だと実感しました。

以下、6月議会(9月議会の会議録が市議会検索システムにまだ掲載されていないようなので)での私の一般質問の内容と、2つの道新記事の内容を紹介します。

2010年9月議会での高橋佳大の一般質問


(高橋佳大議員) 
 まず、新幹線の札幌延伸と並行在来線問題についてです。新幹線の札幌延伸に当たって、JR北海道が新函館駅-現函館駅間を経営分離する方針を明らかにしたことに対する市長の基本的な立場を伺うものです。
 
(西尾正範市長) 
 まず、大綱1点目、新幹線の札幌延伸と並行在来線問題にかかわって、在来線問題に対する市のスタンスについてのお尋ねでございます。今般、JR北海道から北海道新幹線の札幌開業時において、新函館駅から現函館駅までの区間を並行在来線として位置づけ、経営分離するとの意向が示されたところでありますが、国における並行在来線のスキームによれば、具体的な経営分離区間については、沿線自治体とJRの同意を得て確定することとされておりますことから、JRの意向とともに本市の意向が反映されていくべきものと考えております。


また、新函館駅-現函館駅間は多くの新幹線利用者を運ぶアクセス路線として、新幹線の運行の延長上に位置づけられるべきものであり、これまでの新幹線新駅と現駅のアクセスの確保に係る北海道との協議経過や、JR北海道との協議了承のもと、函館駅周辺整備事業に取り組んできた経過も踏まえますと、地域としては将来の振興発展を大きく左右する重要な路線でありますことから、地域の総意としてJR北海道による両駅間の結節機能強化と、将来にわたる安定的な運行体制の維持、確保を求めているものでございます。
 
(高橋佳大議員) 
経営分離対象区間がどういうふうに決められるのかと。沿線自治体とJRの同意を得て確定する、その言葉の意味、理解、これが非常に私は大切だと思います。JRもみずからの意向を示します。そして、沿線自治体である函館市もその意向を示します。その中で同意したことをもとに確定するということですから、そういう点でJRも函館市も対等に意向を示すことができるという意味だと私は解釈をしております。

JRが示した意向と函館市が示した意向、JRと別な意向を表明することをもって札幌延伸に水を差すという批判は、この内容からいくと私は全く批判に当たらないというふうに考えますし、ですから先ほど能登谷議員もおっしゃっておりましたが、やはり函館市は函館市の意向をきっぱりと示していく、このことが極めて大事だというふうに思っております。そのことについての市長の考えをお聞かせいただきたい。


(西尾正範
市長) 
並行在来線の経営分離区間については、これはJR、さらには沿線自治体それぞれの了解なしでは決まらないものですから、逆に言えば函館市の意向がこういうこと通らなければ、着工命令が出ないということなんですね。結果としては、この札幌延伸の着工命令を出すためには、函館市の同意が必要なわけですから、セットではないと言いながらもセットにならざるを得ないことだと思います。
 

ただ、申し上げているのは、函館市としては今までの経過、経緯を踏まえても、これからの将来にかかわっての都市間輸送ということを考えても了解できない事項だと。これは市、市議会、経済界を含めて今住民の皆さんも、町会連合会も署名活動なりしていただけるということですが、函館市の総意としてきちっと通していくということで、対応していきたいというふうに考えているところでございます。

(高橋佳大議員) 
新函館-現函館駅間を経営分離にするというJRの意向、これと別なことを言うと、新幹線の札幌延伸に水を差すというような言われ方も一部でされている中で、そもそも新幹線のこの並行在来線の対象区間を確定するやり方というのは、JRと沿線自治体である函館市は同格であるというふうなことに私もこの間気がつきました。そうすると、何の遠慮も要らないということだと思います。ですから、今重要なのは函館の市民が一丸となって声を上げていくことだと思いますので、そういう点で自信を持ってやっていってほしいし、やっていきたいなというふうに思います。

次に、そうなりますと、今後JR北海道との共通認識、つまりJRが責任を持ってこの区間を運行するんだという共通認識を持てるかどうか、そのことが決定的に重要になってまいります。今、市も議会も、1つには新函館-現函館駅間は新幹線運行の延長線上にあるということ、つまり新幹線と一体であるということ。だから、並行在来線という扱いにはならないということ、これが1つ。そして2つ目に、JRが運行することを前提に函館駅周辺事業をともに進めてきたという2つの論立てをもってJRに迫っていっていると思いますし、そしてそのことをJR北海道の社長も言明していたはずじゃないかということで話し合いをされています。しかし、JRの側の言い分も変わってきている、新函館開業時点でのことであって、それは札幌開業時のことではないということを、今JRが新たな見解として言ってきております。
 

つまり、先ほどから大切なのは、しっかりとした論立てでJRと話し合いを続けると。新しい論立てには新しい論立てがまた必要になってくると思います。そういう点で新たな対応、JR北海道の新たな見解に対してどのように対応していくのか、そのことをお聞きしたいと思います。

(西尾正範
市長) 
駅舎を建てている当時、JRの坂本社長さんが、JR北海道が責任を持ってアクセスを確保しますという発言を各所でされているということで、いやそれは向こう側としては札幌開業までの間ですと、それ以降はまた別ですという言われ方をしたんですけども、切りかえしとしては一定の乗客数の推移をもとに、今の駅舎の規模を決めてやっているわけですから、JR北海道としても規模自体も変わってくる可能性もあったと。将来ともでなければ、10年や15年のために100億円以上の税金を投入してやるんですかと、そういうお話ではなかったはずですということで、いろんな議論はしてるんですけども、いろんな経過、経緯は別にしても、JR北海道の経営として新函館駅と都市間を結ばないで航空機との競争関係をどうするのかとか、営業上どうなのかということでいろいろ論立てして議論する中で、JR北海道としても今検討しているところだと思います。


函館市の論理、論議が道義、論理通ってませんかということでよく各首長さんや知事にも、あるいは報道機関の方にも聞いているんですけども、無法なことを函館市は言ってるわけではないと、言うのはもっともだという意見で、よく私のほうには言ってきていただいていますので、理解も得られてきているのかと思いますので、頑張っていきたいというふうに思います。

(高橋佳大議員) 

やはり大切なことは、だれもが否定できない事実と道理、これが一番の力になるというふうにやっぱり思いますし、それとやはり市民の団結力なのかなというふうに思います。そういう点でJRとの話し合いを続けていっていただきたいなというふうにも思います。

ほかにも質問を幾つか用意しておりましたが、最後なんですが、余市町では5月29日にJR函館本線の存続を求める住民の会が設立をされて、会長に元町議会議長、それから副会長に町議会各会派から選出されたということです。その設立総会の学習会で講師をされた大学の先生が、今大切なことの一つとして、函館市長を孤立させないことが大事だというふうに語っていたそうです。私は北後志、余市や仁木町の立場と、函館市が今いきなりJRから並行在来線ですよ、経営分離しますよと言われたと、そういう中でJRでやってくださいというのと、立場や考え方としては違いますけれども、ただ一つ共通しているのは、JRが運行してくださいということにおいては一緒なんですよ。ですから、そういう点で道内の沿線自治体との連携ということも私は非常に大切になっている、そのことについて市長のお考えをお聞きしたいと思います。


(西尾正範
市長) 
早速、渡島管内の首長さんのところには渡島総合開発期成会の会長でも私ありますから、よく話し合いをしていますし、企画部長も説明に伺って、いろいろ御理解をいただけるということで動いているところでございます。また、余市のお話もよく聞いておりまして、黒松内の町長さんとも先般お会いしましたし、後志のほうとも情報交換しながら、いろんな調整をしていく必要があるなと考えておりますので、また議会の側の御支援もいただきたいというふうに存じます。


函館-新函館の経営分離 高橋知事がJRに再考要請 道新幹線 (11月13日の北海道新聞記事 )

北海道新幹線の札幌延伸に伴う並行在来線の函館-新函館(北斗市)間の経営分離問題で、高橋はるみ知事がJR北海道に対し、同区間の分離方針を再考するよう要請したことが12日分かった。沿線自治体による経営分離への同意は着工の条件で「分離不同意」を表明している函館市とJRの対立が続く限り、着工は実現しない。道はこれまで、JRと函館市の「調整役」に徹してきたが、事態打開に向け、中立的立場を転換した。函館市は西尾正範市長をはじめ、市議会や経済界を含めた「オール函館」で経営分離方針に反発を強め、9月には人口の約4割に当たる11万2481人の署名をJR北海道に提出した。同社が何らかの検討を迫られるのは必至で、中島社長は北海道新聞の取材に「いい知恵がないか苦慮している」と話している。

並行在来線 もう後回しにはできぬ(11月29日の北海道新聞
社説)

新青森駅開業による東北新幹線の全線開通が目前に迫った。2015年度には新幹線は新函館駅にも到達する予定だ。札幌延伸の早期着工に弾みをつける機会である。併せて、道がこれまで誘致活動を優先して後回しにしてきた並行在来線の問題に真剣に向き合う時ではないか。新幹線建設により並行在来線がJRの重荷となる場合、経営から分離するのがルールとなっている。問題は、並行在来線の定義自体があいまいなことだ。

札幌延伸に伴い、JR北海道は函館-小樽間を経営分離する一方、収益の見込める札幌-小樽間の経営を続ける方針を示している。JRが不採算とみなせば並行在来線になるとの論法は、生活路線を奪われる地元には納得できまい。当然ながら、函館市や北後志5町村が反発している。特に、函館-新函館間を並行在来線に含められた函館市は強硬だ。

函館市は、新幹線の新函館駅が北斗市にできることを了承し、新幹線乗り入れも断念した。函館駅開発に巨額の市費を投じたのに、この上、新幹線へのアクセスまで不確かになるのでは怒るのも無理はない。道は函館市に、函館-新函館のアクセス拡充に努めると表明した責任がある。JRも函館の観光資源としての重要性を認識しているはずだ。歩み寄る姿勢を示してもらいたい。

待ったなしの課題もある。新函館駅開業に伴い、JRから経営分離される江差線木古内-五稜郭(函館市)間は、分離後の運行形態が決まらないままだ。道は第三セクターによる鉄道経営など数パターンの収支予測を示した。赤字が最も少ないのはバス転換だが、その場合でも貨物専用に鉄路を存続させる必要があるだろう。

全国で並行在来線を経営する第三セクターは、いずれも累積赤字に苦しんでいる。北海道にとって一層不利なのは、長大な路線の沿線人口が少ないのに、物流の動脈としての鉄道を廃止できない点だ。財政が逼迫(ひっぱく)した自治体と、経営基盤の弱いJR北海道のような企業の努力だけでは限界がある。新幹線建設は国が責任を持って進める事業であり、これに付随する並行在来線についても国による支援の仕組みが欠かせない。

道は同じ問題を抱える県と連携して国に粘り強く支援を働きかける必要がある。新幹線の効用ばかりでなく、課題も道民に丁寧に説明し、札幌延伸への合意を形成していかなければならない。

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