2010年12月15日水曜日

加速度的な生産規模の縮小の恐れ TPPの影響

11月20日の「イカール星人はTPPかもしれない」の投稿で、「輸入モノのイカとコンブのせいで、函館の漁業が壊滅的な打撃を受け、函館の夜景の一部になっている漁火もなくなり、イカソーメンも食することができなくなれば、観光都市函館の魅力も減じてしまいます。函館を侵略するイカール星人の正体はTPPかもしれません」と書きました。

現在開会されている市議会で、市長や農林水産部長の認識が表明されましたので、箇条書きで紹介したいと思います。(かなり長いです)


TPP参加の函館市への影響について
  • TPPへの参加は、一次産業およびこれに関連する産業への対策など課題は極めて大きいものがあると受け止めている。
  • 本市の第一次産業への影響は、関税撤廃されることによる輸入品との競合など直接的な影響はもとより、国内生産品の仕向けの構造変化や地域間競争の激化などが想定されるので、本市農漁業にも大きな影響を与えるものと考えている。
  • 第2次産業への影響は、原材料の調達地や製品の販売先、関連産業の動向などにより、業種間で違いがあり、さらには同じ業種であっても,個々の企業の取引状況によっては、その影響は大きく異なるものと考えている。
  • 具体的には、本市工業出荷額の約2分の1を占める食品加工業は、水産加工業ではイカやコンブなど原材料調達の選択肢が広がる一方、自社ブランドのあり方や製品価格などに関する経営戦略の見直しを迫られることも想定されるほか、国内の農・畜産品を原材料とする食品加工事業者では農業・畜産業の動向によっては安定した原材料が確保できない恐れが生じることや、海外製品との価格競争の激化など、様々な影響を受けるものと考えている。
  • また、本市重点産業の一つである機械金属造船業や、電子部品製造業をはじめとする先端技術産業では、機械製造業等では取引先の動向次第によっては受注への影響もあるものと想定されるが、一方では輸出入の活発化や、原材料コストの低下なども考えられる。
  • 第3次産業では、取扱商品やサービスの多様化による新たなビジネス創出の可能性が期待される一方、商品の価格や消費動向がどのように変化していくのかは、何とも言えない部分も多く、どのような影響があるのか、現時点では判断しかねるところである。
  • いずれにいたしましても、市を含め北海道内の食を中心とした産業構造を持つ地域への影響は極めて大きいものと考えておりますので、その対応については、国において慎重に行うべきものと考えている。
  • 雇用面の影響では、TPP参加にともなう地域経済全体の動向に左右されるので、現時点では、一概にはいえないが、TPP参加を契機に国外取引を拡大させる企業への期待がある反面、経営環境の変化や、グローバルな競争により影響が生じてくる中小企業もあると考えている。
  • 食料自給率への影響は、北海道では、米、小麦、牛肉などの主要7品目について、国内対策を講じなければ、平成20年度におけるカロリーベースの道内自給率が211%から64%にまで低下するとの試算しており、地域の農業生産の縮小が、自給率に大きく影響するものと考えている。
  • 食料の安定供給の面からは、国内の農業生産の縮小により輸入品への依存度が増した場合、貿易相手国の豊凶や相場の直接的影響を受けることになり、需要量が確保できず、市民生活への影響も危惧されるほか、生産の縮小による耕地放棄地の増加や漁場等の環境悪化などの生産基盤の不全は、国土の荒廃や生態系の保全にも深刻な影響を与える恐れがあると考える。
  • 関税撤廃による漁業生産額への影響については、詳細な影響額の試算にあたっては仕向け状況や加盟国との内外価格差や輸出量などの要因を勘案し、前提条件を設定する必要があり、難しい面もあるが、北海道では、関税の原則撤廃を目指すTPPに参加した場合の影響額を、ホタテ貝、コンブ、スケトウダラ、イカ、サンマ、タラの6品目を対象に試算し、その額を約530億円と公表した。
  • これを、本市の漁業生産額に当てはめると、主要生産品であるコンブでは33億6千万円、イカについては26億1千万円となり、対象6品目合計の影響額は約66億3千万円と算出されるものでございます。
  • 4支所地域(戸井・恵山・椴法華・南茅部地域のこと)への影響では、貿易自由化による安価な輸入品の増加は、加速度的な生産規模の縮小を誘発する恐れがあり、その影響は、特に、一次産業を基幹産業とする地方において顕著であると考えている。
  • 本市においても、漁業を中心に成り立つ4支所地域では、太宗漁業であるコンブやイカの生産縮小による廃業、ひいては、地域漁業への依存度が高い造船や漁業関連機械などの関連産業にも波及し、地域全体の活力の減退や地域コミュニティの存立に大きな影響を及ぼす可能性がある。
  • 私(西尾市長)としても、農業や漁業はもとより、本市産業全体への影響は大きいと考えているので、先日の市議会の意見書を重く受けとめ、漁業を中心に関連産業とともに栄えてきた本市が将来にわたって発展していくためにも、地域の合意がないまま、TPPの参加を行なわないよう、今後においても、北海道や北海道市長会、関係団体と連携をはかり、国に対し強くはたらきかけていきたいと考えている。

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