2012年9月16日日曜日

消費税の地方税化で函館市はアウトに

私がまだ函館市議会議員をしていたころですから、2年前か3年前の秋のことです。私が所属している総務常任委員会で首都圏の自治体に行政調査に行きました。調査先の市役所に着き、滅多にないことなのですが、そこの議長があいさつに来てくれました。あいさつの中で次のようなことを議長は言いました。

「どうしたら、函館市さんのように、地方交付税をたくさんもらえるのか教えてほしいものです」

この言葉に含まれている皮肉、蔑みの思いがわかれば、あなたは地方財政に詳しい人だと思います。

地方財政は、「これくらいのまちだったら行政運営にこれくらいの経費が必要だという額」が計算で決まっていて、税収などがその額(基準財政需要額)に足りない場合、その差額が地方交付税として国から来るしくみになっています。乱暴な説明かもしれませんがだいたいこんな感じです。

函館市の歳入にしめる地方交付税の割合が高いのは、函館市が何か上手にやっているというより、税収が少ないということの裏返しです。貧乏なまちということなのです。あの議長の言葉は「私たちは地方交付税をもらわないでしっかりやっているのに、あなたたちは何て貧乏なんだ」と私には響いたのです。

たしかに函館は貧乏です。毎年函館市の財務部が、同程度の都市の財政の比較をしているのですが、税収は最下位、交付税はトップという状況です。でもそれは函館の人たちが、勤勉でないとかそういうことではないと私は思います。歴史的、地理的にもさまざまな要因があってのことです。好きで貧乏なわけではないのです。みんなが貧乏から抜け出られるように自治体は努力をしなければならないと思いますが、貧乏な町であることを恥じることはないと思います。胸を張って地方交付税を受ければいいのです。

さて、「地方交付税制度の廃止」を「消費税地方税化」とセットで主張する人たちがあらわれました。維新の会です。これがやられると函館はもうアウトでしょう。絶対やってはいけないと思います。

この問題について、「しんぶん赤旗」のわかりやすい記事がありますので紹介しましょう。

現行の消費税は1%分が「地方消費税」です。残り4%を「地方税化」すれば10・42兆円地方の税収が増えます。ところが、「廃止」としている地方交付税は約17兆円。これが不足した場合の穴埋め措置として認められる「臨時財政対策債」が約6兆円ですから、実質的には合わせて23兆円超。

つまり、消費税を「地方税化」しても、地方交付税を廃止すれば、13兆円の大穴が開いてしまうのです。ちょうど、消費税5%引き上げ分の13・5兆円とほぼ一致します。

橋下氏は、消費税を地方税化しても、地方交付税を廃止すれば「地方は損をする」と認めつつ、その場合「地方は…消費税を上げるか、サービスを削るしかない」(4月6日ツイッター)と二者択一を迫っています。13兆円といえば、地方財政のうち一般歳出総額の2割。医療、福祉、保育などのサービスを一律2割削減しなければならないほどの額です。増税かサービス切り捨てか、犠牲を強いられるのは住民です。

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