2011年2月27日日曜日

英語にも主語はなかった

『日本語は亡びない』(金谷武洋 ちくま新書)という本がおもしろく一気に読みました。本のカバーの裏表紙に著書のプロフィールが載っているのですが、函館ラサール高校出身であることがわかり、ちょっとうれしい気持ちで読みました。またつまみ食い的に気に入ったところを紹介しましょう。

「実は、古英語にまで遡れば英語は・・・主語もなかった。・・・古英語に大量の仏語語彙が入り、文法的には極端な単純化が起きた。男性/女性名詞の区別を失い、名詞変化(曲用)と動詞変化(活用)をも英語が失っていった。・・・もはや文法関係は語順でしか表せなくなり、義務的に文頭に行為者をおくようになった。これが主語の発生である。」

「地球上には数千の言語があると言われる。だが、・・・主語がないと文が作れない(主語強要)言語はたったの八つしかないのだ」 

この八つの言語というのは、英語、フランス語、ドイツ語、オランダ語、デンマーク語、スウェーデン語、ノルウェー語、ロマンシュ語だそうです。

昔、大学時代に習ったドイツ語は、動詞変化も複雑で、名詞まで変化し、そのために語順が少しくらいい正確でなくともちゃんと意味が通じると思ったことがあります。ところが英語は文法が単純になったために、語順にしばられる言語になってしまったということですね。

この本で言いたかったことは、英語の文法を鋳型にして、日本語の文法を論じてはならないということで、なるほどと思いました。

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