2011年3月3日木曜日

34億円の財源不足 生活保護費が増えたせいでない

私の一般質問の内容を紹介します。函館市の新年度予算が発表されると、財源不足34億円について、新聞各紙はいっせいに生活保護費の増嵩に原因があるという記事を書きました。しかしこれは事実とは違いました。そのことを明らかにした質問です。


函館市の財政収支の不均衡の原因について 高橋佳大質問

(高橋)
最初は函館市の財政収支の不均衡の原因についてです。減らされつづけていた地方交付税は政権交代以降、回復基調にあり、今年度(2010年度)予算も33億円の財源不足を計上していながら決算見込みでは財源不足が10億円にとどまるということを聞いていましたので、新年度予算の財源不足額が34億円にのぼるということを聞いて、いったいどういうことだろうというのが、新年度予算についての私の率直な感想でした。

予算説明では扶助費、特に生活保護の増嵩がその要因になっているということでしたが、これについても私は首を傾げているところです。

それは生活保護の財源は、4分の3が国庫負担であり、4分の1は一般財源負担として市の負担となりますが、この4分の1については基準財政需要額に算定され地方交付税の対象になっているからです。財政のしくみからいって、生活保護の増嵩が地方財政を圧迫することにはならないはずです。

新年度予算の財源不足の原因についてお聞きするものです。

(財務部長答弁)
新年度予算における財源不足につきまして、一般財源ベースで前年度と比較いたしますと、生活保護費などの扶助費で約5億4700万円の増、介護保険事業特別会計への繰出金で約2億2800万円の増、後期高齢者医療療養給付費負担金で約3億3700万円の増のほか、任意予防接種費などを含め、社会保障に関する経費総額で約13億5千万円の増額となったところであります。

.この増額分については、一定程度、交付税の基準財政需要額にも算入したところでございますが、国の地方財政計画においては、人件費を含めた一般行政経費の見直しや市税の増収を見込み、 実質的な地方交付税は、対前年決定ベースとの比較で4.3%の減額となっており、これらを参考に積算した市税、交付税などの経常的一般財源につきましては、前年度予算と比較しますと約11億4,900万円の増額にとどまっているものであり、結果として、新年度予算の財源下足額につきましては、ほぼ前年度並みの約34億円となったところであります。

(高橋再質問)
まず、新年度予算の財源不足の原因についてですけれども、新年度予算の財源不足が34億円も出ていると。それで説明では、生活保護費などの扶助費、これが伸びているんだということが説明でされていたし、より増幅された形で、マスコミがそのような取り上げ方をいたしました。しかし、私は、これは違うと。財源不足の理由は、それではないというのが私の問題提起でした。そして、先ほど財務部長から答弁がありましたが、その答弁の内容は、私が指摘したものを肯定した答弁だというふうに、答弁をお聞きしております。

もう少し詳しく見ていきたいと思いますが、かぎとなるのは、政府の地方財政計画だと思います。地方財政計画では、生活保護費であるとか社会保障費の伸びに合わせた地方負担分、これは地方交付税で確保されております。しかし、社会保障以外の人件費などの一般行政経費分の地方交付税が大幅にカットされております。そのために、先ほどの答弁にあったように、実質的な地方交付税が全国的に4.3%も減になっております。民主党政権は、地方交付税を0.5兆円ふやしたというふうに言っておりますが、しかし、臨時財政対策債を加えた実質的な地方交付税は、先ほどの4.3%の減というのが本当のところだと思います。

先ほど私は登壇をいたしまして、民主党政権になって、地方交付税が回復基調だというふうに申し上げましたけれども、それは2010年度までの話で、一転して、また削減になっていることだというふうに思います。これが新年度の函館市の予算に反映して、財源不足34億円になっている。つまり、生活保護費などの扶助費がふえたためではなくて、地方交付税が減るという見込みになっているから、こんなにも財源不足が大きくなっているというのが、先ほどの答弁の内容ですよね。そうだって言ってもらえば、いいんですけど。(笑声)

(財務部長)
財源不足の原因、交付税が大きな要因であるというふうに思います。また、このたびの国で示されました交付税の算定基礎、それにつながります地方財政計画、これでは地方税の伸びが1.6%伸びるという計画になってございまして、函館市は実際、予算は0.3%減ということで予算を組んでいるわけで、そういった、函館市のみではないんですが、地域経済との実態、そういったものとの乖離が生じているのかなというふうに思ってございます。

ですから、普通交付税、地方交付税が、すべてが財源不足の原因というふうには言い切れませんけれども、その削減がある意味、一つの大きな要因になっているというふうに認識しております。

(高橋佳大再質問) 
そうですよと言ってくれれば、一番わかりやすかったんですけれども、結構また難しく答弁されてしまいました。

部長の答弁もわかるんですよ。地方交付税が4.3%も減になっている一つの要因は、地方財政計画で、税収がもっと伸びるはずだという計画のもとになされておりますよね。しかし、函館の場合は税収の伸びが期待できないって、これが一つの要因であるというのは、私はわかっているつもりです。しかし、その多くは、地方交付税が大幅に削減をされているということが原因になっていると。その要素は非常に高いんですよね、というふうに思っておりますけども、それでよろしいですよね。

(財務部長)
先ほども申し上げましたが、地方交付税の削減は、一つの大きな要因となっているということでございます。

(高橋佳大再質問議員)
34億円の財源不足の原因は、生活保護費などの扶助費の伸びにあるのではなくて、地方交付税の減額にあると、その要素が非常に大きいということが、今答弁によってわかりました。

ところが、実際の説明はそういうふうになっていないんですよ。生活保護費や扶助費が伸びているから、函館市の財政が大変になっているという説明がされておりますし、それがマスコミの報道によって、いやマスコミもですね、私、ちょっと考えれば、そんなのすぐわかることだと思うんですけれども、増幅された形でそれが報道されているということに、非常に集団的な誤謬が起きているというふうに思っております。

こういう考え方が新聞によって、こういうふうに広められるくると、市民の中にどういう気持ちが起きてくるのかということだと思うんです。函館市の財政が厳しいのは、生活保護のせいだ。自分が苦しいのは、生活保護を受けている人が多いからだ。そういう気持ちが当然わいてまいります。市民の中に、ぎすぎすした関係というものが生まれてまいります。私はそれでいいのだろうかというふうに思っております。

以前、市長が函館の自治の歴史というものをひもといて、弱者に対して、連帯して手を差し伸べるのが函館の自治の非常にいいところだったというふうにおっしゃっておりましたけれども、こういう情報の流し方、説明の仕方、これは修正をかける必要があるというふうに私は思いますけれども、どのように市長はお考えになるでしょうか。

(西尾市長市長) 
予算の、22年度当初予算から22年度決算ベースでどう変わるかと。途中で地方交付税からいろいろ動いていますから、そしてそれと対比で、22年度当初予算対比で23年度予算をどう見るかと、どういう予算を組むかということについては、大きくは社会保障費が伸びているということは、大きなウエイトを占めているんですけれども、トータルで見ないと、なかなかちょっとわかりづらいところがあるんですね。だから、そういうことは、少し生活保護だけが悪いんだみたいな誤解を招かないためにも、必要だと思いますので、22年度対比の予算の増減の伸び、減りとか、トータルを示せる資料を、機会を見て所管の委員会のほうに出させていただきたいというふうに思います。函館市の財政状況、インターネットなんかでも出しているんですけども、よりわかりやすい対比で、どうなっているかということをお示しさせていただきたいというふうに存じます。

(高橋佳大のまとめ) 
普通に分析すれば、そういうことがすぐわかると思いますので、ぜひ市民の中に誤解が広がらないようにお願いしたいなと。やはり暮らしが大変になっていく中で、風当たりが強くなっていくというか、みんな大変な思いをしているから、強い風当たりというのは、市の職員と生活保護を受けている人に行くんですよね。だけど、本当にそういう市民が、市長がおっしゃっているように、函館の自治をつくっていく上で、いろんな人がいるけれども、みんなが社会的な連帯をして、まちをつくっていくということが大切だと思いますので、そういう点では、ぜひよろしくお願いしたいなというふうに思います。

追記(2012.10.21)
会議録ができてから全文紹介すると書いたのですが、それをしていませんでした。今日会議録からそのまま全文引用させていただきました。

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