2017年4月16日日曜日

谷村志穂『大沼ワルツ』が朝ドラになればいいのに

谷村志穂さんの小説『大沼ワルツ』(小学館、2016.7初版第一刷発行)を読みました。私が住む函館の隣町、七飯町の大沼が舞台になっています。地元バカと思われるかもしれないけど、私はこの『大沼ワルツ』がNHKの朝ドラになればどんなにいいだろうと思うのです。



香川県から大沼に開拓で入った倉島家の2代目、3代目、4代目の家族が描かれています。3代目の男兄弟3人、秀雄、文雄、満男に、山梨から3人の姉妹、以久子、朗子、ハナ江が順に嫁ぎ、力を合わせて木彫り制作、電気屋、ユースホステルの仕事をしながら、駒ヶ岳と大沼の自然に抱かれて暮らしていくことがタテ糸となって物語が展開していきます。ちなみに兄弟3人の名前は、ひい、ふう、みい、姉妹はい、ろ、はから名付けられています。

物語の内容には触れませんが、もし「おおらかでこまかなことにはこだわらない」というのが道産子の気質であるなら「道産子の気質というのはこんな風につくられたんだな」と納得してしまう、そんな人物像が描かれています。

大沼の自然がふんだんに描写され、自分の中にある大沼を思い出しながら読んだのですが、秀雄が制作したカヌーの進水式のシーンは次のように描かれています。「パドルを漕ぐ満男の向こうに、駒ヶ岳が見える。船はゆっくりと回り、滑るように周囲の森を映していく。空に白鳥が飛び、船着場で飛び上がる那須子が見える」、ウーン、いい感じですね。

世の中は狭いというか、私の近所の知り合いが大沼出身なので「あれ、読みました?」「大沼ワルツのこと?あれに出てくる絵の上手な子どものモデルね、同級生なの」なんてことも。彼女がいうには「世の中、変化したねえなんていうと、普通、家が増えて、店が増えてなんて思うんだけど、違うんだよね。大沼も寂しくなって6つあった小学校もひとつに統合しなければならなくなってるの」って。大沼は相変わらず美しい観光地であると思っていましたが、そこに住む生業が急速に縮小していることはとても残念なことだと思います。

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